プロセス革新は,リエンジニアリングの理論を応用した業務革新のための方法論です。
従来のフローチャートを使用した業務改善手法に対して,情報システムの理論やソフトシステム・アプローチを取り入れたシステマティックな業務革新のための手法体系です。
プロセス革新の手法には次のような特徴があります。
@分析に時間をかけ過ぎない。
A新業務プロセス設計の経済効果を定量的に示す。
B合意形成を目指す。
C情報システムと業務システムの組み合わせから経済効果を導く。
D組織変革を同時に考える。
業務の改善を行う場合,まず業務分析から始めるのが一般的です。しかしながら,分析に労力と時間をかけ過ぎることは,分析にすべての労力を費やし,新しい業務提案がありきたりな提案であったりすることがよくあります。
多くの組織では実際の業務革新提案は必ずしも分析の結果出てきたものともいえないようです。
特に業務を革新するのであれば,現状分析は,現行業務のコストを認識し,将来業務へ移行するためのギャップ分析に限定すべきです。
ビジネスプロセスとは,仕事の時系列的な流れを指します。「仕事の時系列的な流れ」ゆえに部門横断的な概念となります。
プロセス・マップというダイアグラムは,ビジネスプロセスを検討するのに適しています。
プロセス・マップは,組織をまたがったプロセスを上手に表現できます。
又,プロセス・マップは下位のサブビジネスプロセスに分解することができるため,概観性と詳細性が同時に達成できます。
更に,プロセスマップを利用して,「価値」,「コスト」,「サイクルタイム」および「品質」といった定量値で業務の有効性や効率性を検討することができます。これが,プロセス革新の手法が,新業務プロセス設計の経済効果を定量的に示すことができる理由です。
業務の革新で大切なことは,分析や設計を「顧客の視点」で行うということです。顧客という外部からの視点を入れることで,部門における仕事の自己目的化の弊害を打ち破る梃子とします。
プロセスマップを利用すると,部門をまたがったビジネスプロセスの「コスト」や「サイクルタイム」が明確となり,対象を明確に捉えられるようになります。
業務革新の最大の障害は「合意の形成の困難さ」です。ユーザーは,自分の仕事の視点から物事を考えがちです。システムの専門家であるシステムエンジニアは,ユーザーの意見を無批判に受け入れがちです。新しいビジネスプロセスの洗練化のためには,明確な目的意識のもとに合理的な意思決定をしていく必要があります。
トップダウンによるリエンジニアリングを補強するため,あるいはミドルからの業務革新を行うためにも社員の理解とコミットメントが必要です。
仕事を時系列に並べ,顧客の視点でみると「待ち時間」が異常に長いことに気がつきます。実際に計算してみると,サイクルタイムに占める「処理時間」は,1%未満のものが圧倒的に多いのです。すなわち「顧客は異常に待たされている」のです。
これでは,アジル(俊敏な)経営とはなりません。
プロセス革新の手法には,「新製品開発から市場への投入時間の短縮」「注文から受領までの時間短縮」等サイクルタイム短縮例が沢山あります。
情報システムが,業績に貢献するという考えは幻想です。事実アメリカでは,コンピュータへの投資は全米の経済生産性を押し下げたという政府発表があり,未だにコンピュータと生産性との関連は照明されたわけではありません。
ERPを導入する場合は,特に業務革新がコンピュータ・システムと密接に関係してきます。業務設計をERPの特性を考えずに実施したことによる失敗事例は沢山あります。
又,ERPの導入自体が業務革新という考えも幻想です。
情報システムは,ビジネスプロセスを変えるように上手に設計されない限り業績に貢献する保証はありません。
業務革新をおこなうステップをまとめたものが,業務革新の方法論です。「@文書化」,「A合意形成」,「Bベストプラクティスの探求」,「Cテクノロジーレビュー」,「D組識のレビュー」という5つのステップから構成されます。
「@文書化」は現状を客観化する手段です。ドキュメンテーションを迅速に行い,現状を定量的に把握するためにプロセスマップを利用します。
「A合意形成」は現状をどう捉え,将来の動向をどう構想し,どのように変えていきたいかのディスカッションをおこなう場です。
「Bベストプラクティスの探求」は同一ビジネスプロセスを他社がどのように行っているかを調べ,あるいは理想型を探求する場です。
「Cテクノロジーレビュー」は当該プロセスを変えるにあたって情報システム等の制約と効果を調査する作業です。
最後に,業務革新は組識の抵抗の克服なしには実践できません。「D組識のレビュー」は,業務の革新に適合した組識のあり方の検討と変革に対する抵抗や障害の洗い出しをおこなう作業です。
プロセス革新 |
経営戦略論 |
顧客ロイヤルティ |
会計プロセス |
知識ベースへ戻る |