個人で会社を設立する場合,まずどんな会社形態にするかについて当たりをつけましょう。以下の会社形態から自分にあいそうなものを選んで,その会社形態の説明がよく載っている設立のマニュアル本を購入して読んでみましょう。会社形態に対応した設立キットも売られています。
株式会社
一般的。資本金1,000万円が必要。経理・法務を中心に会社運営費用もある程度かかる。
有限会社
株式会社の簡易版。体裁を気にせず実質本意でいくなら会社運営費用も安く実際的。
合資会社・合名会社
無限責任であるが,株式会社といえども責任を免れないとするなら,設立も簡単で費用も安い。
外国会社の支店
英語に自信のある人は外国に会社を設立し,日本の支店を持つ方法は最も安い費用で会社設立する方法となり得ます。
手間を惜しまなければ,株式会社を含めすべての会社は自分で設立することができます。法学部や経済学部を卒業された方なら,この位のことが出来なくては,ベンチャーをやろうとしてはいけません。
しかし,一般的には「株式会社の設立」は何度も官庁に足を運んだり面倒なので,専門家に頼んだ方が安全といえます。
有限会社は株式会社の簡易版ですから自分でやりましょう。合名・合資会社も自分でできます。
あなたが優秀で,こんなことに時間を使う暇が惜しい思われたなら会計事務所を尋ねなさい。これらの費用はそれほど高いわけではありません。又,会社設立後にすぐに発生する税務に対するアドバイスももらえるなら,始めに会計事務所に相談するのは悪い選択肢ではありません。
国際的な活動を考えている方のために
あなたが,クリエイティブで国際的であるならば,外国会社を設立する方法があります。この方法は,まだほとんど知られていません。会社自体は,インターネットで設立することができます。しかも,費用は有限会社よりはるかに安くなります。
しかし,設立後に日本で会社として活動するためのノウハウを知っている人が極めて少ないのです。私どもの経験では,この方法をインターネット上で説明することは危険であり,中途半端にやった人が,無意識に脱税をしてしまう可能性も多いと考えています。ということで,ご興味をお持ちの方は,ご一報下さいということで,悪しからず・・・
海外が絡む取引の税務を考えるにあたっては,基本パターンがあります。居住者,PE(恒久的施設),外国税額控除等といった知識ですが,本を読んだ上で,この部分だけでも専門家に確認すべきでしょう。
クリエイティブなあなたにとって,頭の硬い会計や税務の専門家は役に立たないかもしれません。海外の法律事務所と連絡できない公認会計士や,外国法人が絡む国際税務を知らない税理士では,あなたと一緒に,これからのグローバルなビジネスモデルをつくってくれないでしょう。一般的に,このような人には,ビッグ5と呼ばれる大きな会計事務所が対応しています。同様に,中規模な独立会計事務所のネットワークもあります。
イデア国際会計事務所は,この独立会計事務所のネットワークに加盟し,世界中の会計専門家とアットホームな関係を築き上げています。
会社設立の費用は,株式会社だと通常50万円以上かかります。最低資本金の1,000万円を別にして,付随する実費(報酬,登録免許税,印鑑等々)細細とした支出がたくさんでてきます。当然のことですが,自分でやって節約できるのは専門家への報酬分だけです。(まあこれが一番大きいのですが…)
もしあなたが,経営や仕事に集中したいと考えるなら,すべて専門家に頼んでしまったほうが楽です。
会社設立の専門家は,弁護士や弁理士です。しかし会社を設立するとすぐに税金の問題,給与や社会保険の源泉徴収の問題が発生します。会社設立は自分で出来ても,一人でここまで間違いなく出来る人は,もうプロです。(もちろん,これらも自分でやることは可能です。)
法律事務所に対して,会計事務所の利点は,会社設立,将来の法的運営,給与等の源泉徴収,税務を同時に行なってくれるところにあります。設立時の費用は処理の仕方によって,税務上費用で落ちますが,こんなアドバイスもしてもらえます。
会社を設立するときは,将来の会社運営費用も考えましょう。株式会社は,ここでも毎年の運営コストが高くなります。その他の会社形態でも,経理,税務申告,給与や社会保険業務の費用が会社維持費用として発生してきます。
給与に関する基本事項を以下にまとめておきます。
残業手当・休日労働手当
法定労働時間(1週40時間,1日8時間)を超えた残業は25%以上の割増賃金。
法定休日(1週間に1日または4週間に4日)の休日労働は35%以上の割増賃金。
22時から翌朝5時までの深夜労働は25%以上の割増賃金(時間外等に加算される)。
賃金台帳
給与計算には,本給,各種手当,社会保険料,給与所得税,住民税等が含まれる。
会計事務所の指導を受け給与パッケージを使うか,面倒な場合は会計事務所に頼む。
賃金台帳は3年間の保存義務あり。
役員報酬
役員報酬は,相場を超えると経費処理できないが,役員賞与が経費処理できないためこちらを高くした方が節税になるケースが多い。
役員賞与は,経費処理できない。
使用人兼務役員を利用した節税法がある。
保険金を利用した節税法がある。
給与所得税の源泉徴収
扶養控除申請書を提出する。
給与所得税の源泉徴収を行なう。
10人以上の会社は翌月の10日までに税務署に納付する。
(10人未満の会社は届け出をすれば半年ごとの納付でもよい。)
住民税の税額通知書を基に給与から源泉控除する。
翌月の10日までに市区町村に納付する。
扶養控除の申告
毎年,年末調整の時期に従業員に「扶養控除等(異動)申告書」に記入してもらい提出。この申告書に基づき年末調整で所得税の還付の処理をしたり,翌年以降の所得税の源泉徴収を行なう。
結婚や出産によって扶養家族の異動があった場合は提出する。
社会保険料の徴収と納付
従業員負担分は給与より天引き。
前月の給与にかかる保険料を当月の給与から控除。
給与天引き分と事業主負担分を月末までに納付(納入告知書が毎月20日頃に送付されてきます)。
雇用保険料と労災保険料の納付
年1回,前年度の確定給与額に基づき当該年度分を前払いで5月20日までに一括納付。
報酬からの所得税源泉徴収
会計事務所や社会保険労務士に報酬や料金を支払ったときは,所得税の源泉徴収が必要(相手が法人の場合は不要です)。
100万円未満は10%,100万円以上は20%を源泉徴収する。
支払調書を支払先と税務署に送付する。
徴収した翌月の10日までに,納付書用紙(報酬・料金等の所得税徴収高計算書)に記入し,税務署に納付する。
ここまで読んでいやになってしまった人も多いでしょう。こういった事柄は,やりながら覚えていった方がよいのです。初めに専門家にアドバイスをもらい,その都度,都度に自然にわかってきます。たとえば,10人未満の会社は,源泉税について半年ごとの納付でいいという項目は,毎月10日毎に振り込むのはだんだん負担になってきて,自然にもっと楽な方法がないかと思っていると,この項目に気がつくといった具合です。
ざっと理解したら,市販のキットやソフトを買ってきて,フローチャートか文書でもつくって,自社用の要点をまとめておきましょう。
会社を設立すると法人となり,法人は従業員が全くいない場合でも,必ず社会保険の手続が必要になってきます。社会保険とは健康保険と厚生年金を指し会社が費用の半分を負担する義務があります。
会社設立時には,社会保険事務所にいって申請手続をしなければなりません。さらに原則として毎月給料より天引きして納付しなければなりません。小さな会社の場合は,給与所得税の計算と一緒に社会保険労務士か会計事務所に一括してたのみ,慣れてきたら自前でやるか人を入れるのがよいでしょう。
労働保険とは労災保険と雇用保険を指し,これらも会社が負担します。
以下簡単に,社会保険等の特徴を記述します。納付については給料等の処理に既にまとめて記述しあります。
健康保険
従業員(社長や取締を含む)が一人でもいる法人は強制適用です。
保険料は会社と従業員の折半。
会社負担は,標準月額報酬の4.1%です。
標準報酬月額とは,5月〜7月の給与の月平均額。
2003年4月からの改正で,賞与についても同額の負担がかかります。
厚生年金
従業員(社長や取締を含む)が一人でもいる法人は強制適用
保険料は会社と従業員の折半
会社負担は,標準月額報酬の6.79%です。
2003年4月からの改正で,賞与についても同額の負担がかかります。
雇用保険
従業員(社長や取締は含まない)が一人でもいる法人は強制適用
保険料は会社と従業員の折半
会社負担は,賃金総額の1.05%,従業員負担は0.7%です。
労災保険
従業員(社長や取締は含まない)が一人でもいる法人は強制適用
保険料は全額会社負担
ここまで忍耐強く読まれた方,
このバイタリティーがあれば,あなたはもうベンチャーを設立できます。
でもここまで書いた私のバイタリティーも捨てたものじゃないでしょ。
さあ次は,ベンチャー企業の経理に挑戦して下さい。
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